Oliver-Cowdery-Mormon

オリバー・カウドリは1806年10月3日にバーモント州,ラトランド郡ウェルズで生まれました。モルモン教の草創期に重要な役割を果たしました。彼は兄弟たちとともに、より良い雇用の機会を求めてニューヨーク西部にやって来ました。最初は雑貨店の店員になりましたが,鍛冶屋や農業もやりました。

オリバーがジョセフ・スミスに会ったのは,兄が雇われた学校の教師の仕事が引き受けられなくなったときでした。兄はその職にオリバーを推薦し,オリバーは理事会から雇われました。仕事場はスミス家の近くでジョセフの兄のハイラムは理事でしたので,ハイラムのはからいによりオリバーはスミス家に下宿することになりました。

ジョセフは(妻のエマとその兄弟に筆記者をしてもらい)後にモルモン書と呼ばれる金版を翻訳している最中でした。しかし,ジョセフも家族を養うために働かねばならなかったので,彼が翻訳をする時間は限られており,それを書き留めるほど学問があるわけではありませんでした。エマの兄弟はその記録に対して信仰を失ってしまったので筆記者として助けることに興味を失くしてしまいました。希望を失ったジョセフが祈ると神は新たな筆記者を送る約束をされ,そのときまで翻訳を止めるように言われました。

 

約束された筆記者

オリバーはすぐにこの金版について聞きましたが,スミス家がそれについて話すのは気のりしていないことがわかりました。彼らは自分たちのことを知っている隣人やその他の人々の嘲笑にうんざりしていたのです。ようやく彼はスミス家の信用を得て,ジョセフの父親であるジョセフ・スミス・シニアはオリバーに金版について話しました。オリバーは興味をひかれ,個人的にそのことについて祈るようになりました。そしてその書物を準備するにあたり,自分に役割があるかもしれないという印象を持ちました。また学校の仕事が終わってからジョセフ・スミスに会うべきだという印象を受け,ジョセフの弟サミュエルとともにジョセフに会いに行く計画を立てました。彼はこの件について神から求められることは何でもしようと心に決めました。

旅の途中,オリバー・カウドリの友人のデビッド・ホイットマーを訪ねました。デビッドは興味を持ち,オリバーにジョセフ・スミスやこの伝えきいた古代の記録についての印象について手紙を書いてくれるように頼みました。これは教会の未来に広範囲の影響を与えました。

オリバー・カウドリに会ったジョセフはすぐに彼が主の約束された筆記者であるという印象を持ちました。彼らはその日はずっと語り合い,火曜にはいくつかの仕事を終えて,その後翻訳を始めました。

翻訳は驚くほど速く進み500ページが3か月で翻訳されました。この間,ジョセフ・スミスを通してオリバーは個人的な啓示をいくつか受け,それには彼が今そこにいるのは自分が何をすべきかを祈り,その促しに従ったからであるということが気づかされました。その啓示を受けた後,オリバーはジョセフに金版のことやジョセフが本当に預言者であるか否かについて祈った夜のことを話しました。

オリバーは自分でも翻訳をする許可を得たいとしきりに求めました。神は彼に許可を与え,オリバーは金版を見ることを許されました。彼は翻訳しようとしましたができなかったので神は翻訳する許可を取り消されましたが,神は彼が何を間違っていたのか明らかにしてくださいました。オリバーはただそこに座れば,言葉がやって来ると思っていました。しかしオリバーは自ら学び,それから決断が正しいか神に尋ねることを求められていたのです。もし正しければ胸に燃える気持ちを感じ,正しく翻訳していなければそのような気持ちは感じないのです。翻訳の権限を失ってもオリバーはジョセフの筆記者としての働きを続けました。

1829515日,オリバーは力強い示現を受けた場に居合わせた証人となりました。ジョセフと共に彼はモルモン書にあるバプテスマについての救い主の教えに遭遇しました。本文からバプテスマは救いに不可欠であるとわかり,彼らは神がどのようにしてバプテスマを行ってほしいのだろうと思い巡らしていました。彼らはペンシルバニアの家の近くのサスケハナ川のほとりの森に入ってそのことについて祈ることを決めました。これについてオリバーは次のように述べています。

「突然まるで永遠のただなかからのように,贖い主のみ声がわたしたちに平安を告げ,幕が開き,神の天使が栄光に包まれて降りてこられ,心待ちにしていたわたしたちにメッセージを伝え,悔い改めの福音の鍵を授けた!なんという喜び!なんという不思議!なんという驚き!世界は疲弊し,取り乱していても…わたしたちの目は見,耳は聞いたのだ。」

 

神権の回復

天使はバプテスマのヨハネでした。ヨハネはペテロ,ヤコブ,ヨハネの権能のもとで役割を果たしていると話しました。バプテスマをするために,彼らにはアロン神権が必要でした。この神権は旧約聖書に出ています。アロン神権のほかにも神権がありますが,その時はまだそれを受けるときではありませんでした。

バプテスマは生きている者によって行われる必要があるので,ヨハネは彼らにお互いにバプテスマを施すように指示しました。ジョセフは預言者として最初にオリバーにバプテスマを施し,それからオリバーはジョセフにバプテスマを施すことができました。水から上がったときオリバーとジョセフは預言の御霊に満たされました。しかし迫害がひどさを増していたため,彼らはその預言を公表することはしませんでした。

5月の終わり頃,ペテロ,ヤコブ,ヨハネからメルキゼデク神権と使徒の職が彼らに与えられました。これにより彼らは教会を組織し,地上において神の業を行う権能を与えられました。

結局,彼らはモルモン書の翻訳の仕事をより安全な場所でできるようにフェイエットのデビッド・ホイットマーの家に移りました。エマは家の世話のために留まりました。この時,彼らはモルモン書の証人が必要であるという部分について翻訳をしていました。オリバー・カウドリ,デビッド・ホイットマー・マーティン・ハリスはジョセフに証人になれるように祈ってほしいと頼み,神はそれを承認されました。彼らは金版だけでなく,モルモン書とともに入っていたものを見ることを許されましたが,しばらくして手書き原稿を読み,祈っていると,ジョセフはマーティン・ハリスがともに見るためには悔い改めが必要であるという啓示を受けました。

彼らは約束されたことのために森に入り,祈りました。二回ほど願いましたが,応えられず,ハリスは自分のせいで答えられないということが個人的な啓示により分かりました。ハリスは皆から離れて独りで祈りました。

残りの三人が再び祈り初めると,天使モロナイが彼らに現れました。モロナイは地上で生きていたときはジョセフが翻訳していた記録を書いた最後の預言者で近代までその記録を保管するために隠した人でした。彼はジョセフ・スミスが預言者となるように備え,金版に導いた人でした。モロナイは彼らに金版を見せ,それについて証をし,自分たちの受けた証を分かち合うように指示しました。ジョセフはそれからマーティン・ハリスの所へ行き,彼も金版を見ることができるようにともに祈りました。

オリバーはジョセフが一時的に家に帰り,家族の面倒を見るときにモルモン書の出版を監督する助けをしました。彼はそのようにしながら出版について学び,自分の手で書物を整えました。

オリバー・カウドリは183046日に末日聖徒イエス・キリスト教会を正式に組織するときに招かれた6人のうちの一人でした。当時,州では宗教団体を組織するために6名の会員が条件でした。その後間もない411日に,オリバーは新たに設立された教会の最初の公開説教で話をし,それによりその後何人かがバプテスマを受けました。

1829年にはジョセフとオリバーは使徒の職の権能を受け,その年に与えられた啓示の中でオリバー・カウドリとデビッド・ホイットマーは十二使徒を探すように命じられました。後に与えられた啓示で,マーティン・ハリスは彼らを補佐し,3人の見証者は使徒を選ぶことになりました。大会が開かれ,使徒が召されました。通常使徒は先任順となりますが,十二使徒全員が同時に召されたので,この場合は年齢順になりました。

1834年にオリバー・カウドリは教会の大管長会の顧問に召されました。二番目の権能を持ったことで,彼は預言者が神から権能の新しい鍵を受けた時には証人となる必要がありました。彼は福音の回復と教会が真実であるという二番目の証人として仕えました。

 

オリバーの背教

不幸なことに1838年には彼自身の背教により,その地位を失い破門されました。教会を去っても彼はモロナイと金版を見たという証を,たとえ強制されても否定することを拒絶しました。      

「オリバーは数々の事柄で高等評議会から訴えられた。厄介な訴訟により教会指導者を迫害したこと,ジョセフ・スミスの人格を傷つけたこと,実務的な事柄について指導者に従わなかったこと,ジャクソン郡の土地を売却したこと,大管長補佐の召しを離れて法律業に身を転じたことである。オリバーは高等評議会への出席を拒み,手紙で返答している。彼は教会が私事にまで命令を下す権利はないと主張,教会とのつながりを絶つことを要求してきた。そこで高等評議会は1838412日に彼を破門に処した。オリバーは10年間教会の外で生活したが,後にへりくだり,184810月にアイオワ州ケーンズビルで再加入のバプテスマを受けている。」(『時満ちる時代の教会歴史』,15章)

 

オリバー・カウドリは再加入のバプテスマを受け,1850年にこの世を去るまで忠実な会員でいました。彼は信仰,悔い改め,謙遜,赦しの生涯をおくりました。オリバーは神の王国を築く助けをするために大きな犠牲を払い,しばらく離れた時期さえありましたが,戻って来て教会と歩みをともにしました。

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